ある従業員がうちの職場で働いていた。その彼を仮に「店長」と名付けておこう。
本題へ入る前に……何故に「店長」なのか。
彼は数年間、ファミレスで店長を勤めていたらしい。本当か嘘かは存じません。
ただ、この後の話を読めば、果たして本当に彼が店長だったのかどうか物凄く疑わしくなる事請け合い。
まあ、色んな店長が存在するのでしょうけど。
……さて、本題へ。店長の性癖などを覗いてみようか。
店長は、うちの工場へ派遣従業員として現れた。私より年上なの。
どうでもいいけど、店長は有名な大学を卒業していた。M大だかW大だったか……
色々と思い出してしまった。これまでに出会った大学生たちは、びっくりするくらいに馬鹿ばっかだった。優れた例外もいたけどね。
勉強だけ出来ても、世を生きるのは簡単ではない。勉強になったわ。
まず、店長は駄目だ。言葉遣いが絶望的に。
私より年上で……ああ、この話は 数年前 の話で御座います。数年前の時点で、店長は既に四十を超えていた。言わずもがな、社会的にも「大人」で御座います。
店長は「語尾を伸ばす」むかつくしゃべり方をする。「あ~の~」
……伝わりづらいな……そうだ。ささらちゃんにしゃべって貰おう。
店長は斯様にしゃべるのだが……
……駄目だ! ささらちゃんの声が可愛すぎてちっともむかつかない!
店長はしゃべり方が中学生レベルなので、コミュニケーション能力に難あり。
単純に言えば……皆をむかつかせていた。
だがしかし、店長は普通に仕事をこなしていた。特に問題と言えるような部分は見受けられなかった。 恐らく、どこの現場でも無難に仕事をこなしていたと思う。
私は「彼は割と評価されていたのでは」と想像する。しゃべりはむかつくけど。
微妙な生活感
彼は教員免許も所持しているらしい。本人曰く「歴史の教師になりたかった」そうだ。だもんで、知見は割と広い方ではないかと推察される。言動からも「腐っても大卒なのだな」と思わせた。口調はさておき。
まあ……中には「大学まで進学して何を学んだのよ」と言いたくなる野郎もいたが。
店長は朝から晩までソーシャルゲームに夢中になっていたようだ。
プレイしていたゲームは知らないが……RPGのようだった。
朝から晩まで経験値稼ぎ。朝から、晩まで、経験値稼ぎ。
「人生の経験値」は稼いでないのだろうか……本人を見る限り、レベルアップしてるように思えない。もしかして、既に「レベルMAX」なのか……
朝方、駅前で店長を目撃した。駅から会社まで、携帯電話から目をそらさない。
どうでもいいのだが、店長は車にひかれた過去を持つ。同じ場所で「二回」。
その原因は明らかだろうね。
歩きながらのケータイはマジで危ないからやめましょうね。
店長は日頃からパチンコに興じてるようだ。いつぞや彼は「パチンコ屋は出玉調整してるっしょ」などとのたまっていたのだが……それを分かっていながらパチンコをやめられない理由は何なのか聞いておけばよかったな。
店長は生きてる事が辛いそう。私以上に後ろ向きの発言が多い。
冗談だろうけど「誰かオレを痛くないように刺し殺してくれ~」と言っていた。私も生きるの辛いけど……刺し殺して欲しいとは思わないかな。流石にね。
仮想ホームレス?
店長は実家で生活してるらしいが、「帰ってないのでは」と思わせる節を見せた。
これは私の勝手な想像だけど……家に帰りたくないんじゃないかな。
ある雪の日、店長が「出勤できなくなると思って近所の漫画喫茶に泊まった~」と報告していたのだが……それ、「本当の理由」なのかな。遠方から出勤していたのは確かだけど。
時折、アホみたいに無精ひげを伸ばして出勤してくる時がある。
退社した後もコンビニの前でしゃがみ込み、おにぎりにパクつきながら「経験値稼ぎ」をしている様子を見せていた。
店長が致命的に駄目な部分……金がない。
店長が雇われていた派遣会社を仮に「ポンポコ派遣」と名付けておくが……ちなみに私もポンポコ派遣で世話になっていた。現在は直接工場に雇われてる身だが。
ポンポコ派遣は「前払い」制度を設けていた。
本来なら一ヶ月に支払う前払い金の上限は「二万円」程度。とは言え、割と融通を利かせてくれるので上限はないに等しい。社会保険料や所得税などは考慮されるが。
私も金がなかった時は大助かりだった。ポンポコ派遣、ありがとう。
物凄く簡単な算数の話……
よしんば、一ヶ月の給料が「十五万円」だとして、十万円を前払いで受け取ったら残りの給料はいくらでしょうか。
毎月、毎月、店長は頻繁に前払いを利用していたので、常にじり貧。
堪える事を知らない。じり貧の中、「パチンコで○○円負けた~」などと聞くと……もう、色々と駄目なのだろうね。
私なんぞ、生まれた瞬間から間違ってるから常に底辺よ。まあ、それはいいけど。
店長はどうか。私より遙かに色んなチャンスに恵まれていたように思えるのだが……有名な大学を卒業までして斯様な有様を晒すとは、どこで何を間違ってしまったのだろうか。人生とは複雑怪奇なり。
大学受験に失敗しておかしくなってしまった話はリアルでも聞く。ただ、店長は卒業してるからねぇ……今からでも遅くはないから、起業してみたりすればいいのに。
ああ、金がないのか。
店長の末路は「首」
普段から工場の着工計画に不満を漏らす店長。
うちの工場の計画はめちゃくちゃなので、気持ちは分かるが……
ただ、着工計画に直接口出しできる身分ではない事を理解して欲しかった。
ある日、店長がついに狂った。赤いペンで、張り出された着工計画表に「無理」とでっかく落書きをした。ばつ印と共に。
その着工計画表は貴様の私物じゃないのだよ。戯けが。
ついに上司の逆鱗に触れ、工場を首となった。馬鹿な野郎だ……どうでもいいけど、上司があんなに怒り狂うなんて初めて見たわww
大卒はプライドが高いのかね。組織の歯車となって回るのが嫌なら己の力で現状を打開しろと言いたい。店長は日頃から「オレはさ~」と「出来る人アピール」を繰り返していた。その前に分をわきまえろや惚け茄子が。あれは駄目だ。本当に駄目だ。
それにしても、ファミレスの店長ねぇ……
もしかして、客とトラブルでも起こしちゃったのかな。あの野郎ならあり得るわ。
会社というのは、こういう文章を拝見すると、けっこう人間観察の場所でもありますね。人間を観察しながら給料をもらyために働く場所?店長はもうこんな会社で働くのが嫌になってしまったんでしょうね。なんだかんだ組織の一員でいるということは共同幻想が持てるということ。持てなければ地獄の苦痛ですから。かくいう私もいろんな共同幻想をもって参りましたが、幻想はやはり幻想でしてここも去り、あそこからも去り、夢から醒めると一人きりでございます。男女の間にも共同幻想が持てれば楽しいことでございましょうね。やがてこの世とやらからも去ることになる身の上でございますが、つかの間の儚い夢でも持てたことがせめてもの思ひ出というものでしょうかね。