連絡の取れなくなった同僚、飯田。わざわざ、課長が家庭訪問へ……で、飯田本人、いましたね。自宅にしっかりと。
ではでは。課長からの報告を元に飯田リポートをお届けしたいと存じます。
ゴミ屋敷のようだって
課長は面白くなさそうに、「何で俺がここまでしないとならん……」と呟き、飯田の住むアパートへ。それは物凄く変な場所にあり、辿り着くのに難儀したそうだ。
部屋の電気が付いてる。確かに本人はいるようだが……さて。
ピンポーン――
……出てこない。課長は再び呼び鈴を押すが、出てこない。
ピポピポピポピポーン!!
頭に来た課長。呼び鈴を連打、連打。
で、飯田がドアを開けた。一応、生きてはいた。
まず、玄関がゴミ屋敷みたいだったそうだ。いや、「みたい」というか、ゴミ屋敷。
埃が堆積し、床には何やら請求書のような封筒がダイナミックに散らかっていた。流石に手に取ったりはしなかったそうだが……まさか、クレジット会社からの物だろうか。そう言えば、奴は最近高価な電動ガンを買っていた。限定品だからと奮発したようだが……まさかね。分割払いとか、利用してないだろうね。
課長は「部屋も見せろよ」と言ったが、飯田は全力で拒否。まあ、見せられませんよね。
「お前さ、何してんだよ」と、課長。飯田は何やらもごもごと口ごもり、何を言わんとしてるのかさっぱり分からん。
ただ一つ、はっきり分かってることがある。飯田は、金が無い。とにかく、無いと。
課長は言った。「お前、今いくら持ってんだよ?」
飯田、「五千円くらいです」
二十五歳(くらいだったか)の男の所持金がたったの五千円ってあなた……そりゃ、電話も止められるわ。電動ガンだのプラモだの買ってる場合じゃねえだろうが。ちょっと、アホすぎるだろ。
飯田はスマホの電話料金をコンビニ払い(何故か引き落としを利用してない)にしており、支払ってなかったために止められたと。で、止められてしまったから、
会社に連絡できませんでしたと。
戯けが! そんな都合が通ると思ってんのか! そもそも、以前に公衆電話から掛けてきたことがあった。つまり、今回は完全に甘えだ。休むなとは言わないが、連絡だけは寄越せ。
課長はイライラしながら、「お前、休んでる間、何してたんだよ? ゴロゴロしてたのか」
飯田がなかなか言わない。で、課長が詰め寄ると、「アウトドアの勉強とか……」などと意味不明な言動が飛び出した。
よく分かんないんだけどさ、働きながらでも、勉強できますよね?
会社に来なかったらさ、給料減っちゃうじゃんね。きっちり働けよ。
そう言えば、飯田は自転車を持っている。ならば、自転車で通勤も可能……事実、以前は自転車で通勤していた。
課長が「自転車で来いよ」すると飯田、「絡まれるんで自転車使いたくないです」
この男はどこまでも……アホか! 絡まれるって昭和の時代かよ!!
翌日――
今日は連絡が来た。公衆電話からだけど。つーか掛けられるんじゃねえか! 惚け茄子が!!
課長、「今日はどうすんだよ」
飯田は「……気持ちの整理が付かなくて……」などと意味不(略
お前の気持ちじゃなくてさ、私の気持ちの整理が付かねえんだわ。マジで!!
で、結局、休むと。いや、休むのはいいんだよ。もう、好きなだけ休んでいいんだけどさ、
もう少し、ましな言い分け用意しろ。惚け茄子が!!
仕事も褒められないし勤怠も悪いなら、どこの職場でも通用しないよ。それにしても、この男は如何様な職なら上手く行くのだろうか……少なくとも、工場では駄目だ。本当に。
案外、この手の野郎にぴったりな仕事があるんだよね。何一つ思いつかないけど。
( ̄▽ ̄;)< じゃあ、駄目じゃんか!
こんにちは。
飯田くんはアレですね、社会人としてダメという以前に
「人間として終わっている」感じですな。
自転車を使いたくない理由にもクラクラしましたが、
これでよく生きていけるもんだなと。「社会不適合者」
という言葉を彼にプレゼントして差し上げたい。
>この男は如何様な職なら上手く行くのだろうか
自宅警備員はどうだろうw