オリジナル小説下書き:リビルダーズ1『目覚めた家畜から』:第一話

ジャンルは、強いて言うならSFかファンタジーでしょうか。

物語は全て想像の産物で御座います。

便宜的にリアル現代の国名などを使っていますが、全て想像の産物で御座います。

下品でエロい描写があるので、女性や子供向けではないでしょうね。

この作品で私のイデオロギーを他人へ押しつけるつもりは御座いません。

物語は、架空の都市「赤桜(せきおう)」を中心に進んでいきます。

エピソードを複数に分け、展開していきます。

私が勝手に作った造語が出てきますが、特に説明しなくとも字面で「何が言いたいのか」分かるようになってるはずです。多分。分からなかったらすみません。一つ一つ、深いところまで設定していないので勘弁して下ちい。

公開した物に関しては、余程のことがない限り編集はいたしません。それは私自身の、飽くまでも個人的な「それは危険だ」との由だと思って下さい。公開してしまうと、面倒臭いことに付き合わなければいけないリスクを背負いますのでね。嫌な世の中で御座います。ええ。面倒臭いの大嫌い。

『目覚めた家畜から』第一話

 不動産屋に騙された。私は「ちょっと。両脇は女性だって言ったじゃないのよ」と、噛み付いた。

 不動産屋の言い分はこうだ。「いや、急に出て行ってしまって……本当に女性だったんですよ。今時、女性の一人暮らしは危険ですからね」

「二人暮らし」
「ああ、そうでしたね」
「他に、部屋は?」
「うーん……一階なら、空いてます」
「冗談じゃないわ。前、アパートの一階に住んでたことがあるけど、毎晩のようにレイパーとバトルしたんだから。下着だってね、根こそぎ持ってかれたんだから。ノーパンで出勤しなきゃいけない日もあったのよ。舐めないでよ」
「すみません」
「謝って済む問題じゃないでしょうが。警察は役に立たないし。やるかやられるかの緊張感で、お陰で寝不足よ。どうしてくれるのよ」
「いや、でも。そのアパートの話、うちとは関係ないですよね……?」
「それこそ関係ないでしょうが」
「す、すみません……」

 仕方ない。私は、マンション「アルバトロス」の「303号室」に決めた。

 差し出された鍵を引ったくり、不動産屋に「次、嘘吐いたら死刑だからね」と言い放った。ただの八つ当たり? そうね。その通り。

 駅まで走れば三十秒。破格に安い家賃。何かがありそうな気がしてならないが、最悪だったら、すぐに出て行けばいい。

「両脇に住む野郎は何してるの?」
「ええと、学生さん、だったかな」
「どっちも?」
「あ、もう一人は確か会社員の方でしたね」
「……二人とも独身、よね」
「そうですね」

 私は聞こえるように舌打ちしてやり、「ああ、最悪。もう、いいわ。後は適当にやるから」
「はい。では、失礼します」

 不動産屋は幾度も頭を下げ、そそくさと立ち去った。その背中を眺めながらもう一度舌打ちし「死ね」、つま先で床を打ち鳴らし、もう一度、「男は、残らず、死ね!」

 鍵を開けて中へ入った。間取りは1LDKで、一部屋の広さは八畳以上。風呂は追い炊きできるし、トイレも別。値段を考えたら全く悪くないのだが、窓を開けると目に飛び込んでくるのは汚い町並。本当は、自然に囲まれた誰もいないところで生活したい。実現できないだろうか。

 私はベランダへ出て、両脇を見てみた。仕切りはあるが、侵入しようと思えばできそうだ。下着を干すのは危険だろう。カーテンも迂闊に開けない方がいい。雨戸を閉めっぱなしにしておくか。

 家具の配置はどうしよう。本棚は必要だ。ベッドは一つで構わない。ただ、彼女は寝相が悪いから……ダブルベッドにした方がいいだろうか。

 あれこれ妄想してると、携帯電話が踊りだした。彼女からだった。

「もしもし。いいタイミングね。部屋、決めたのよ」
「本当? ねえ、本当に一緒に住んでいいの?」
「ええ。早く、いらっしゃい。駄目よ、あなたも一人じゃ。それに、次のバイトも決まってないんでしょ。どのみち、追い出されるわよ」
「ごめん……ありがとう。実は、督促が来て……携帯も止まるかも」
「もう。早く言いなさい。私が立て替えてあげるから、部屋はすぐに引き払って。そう言えば、また変な奴が来たんでしょ?」
「うん。怖かった」
「狙われてるのよ、絶対に。間違いないわね」

 赤桜町では、百メートル歩けば三人の変態とすれ違う。昼間は「ただの変態」だが、夜になると「度しがたい変態」となり、迂闊に出歩けない。「ちょっとコンビニまでなら大丈夫だろう」などと一人で出かけると、己が連中にとっての「コンビニ」と成り果ててしまい、「これは便利で気持ちいい」とばかりに次から次へと千客万来。あまりに繁盛してしまい、「人生の閉店」と相成ること請け合い。

 決して、気を抜いてはいけないのだ。

 そう。後悔してからでは、遅いから。

 ゴミ捨て場を確認しておこうか。

 ここのゴミ捨て場も混沌としている。分別はおろか、ゴミ袋にすら入れられてない。エロ本や、如何わしい「おもちゃ」も投げ捨てられている。ここの住人はどれだけ恥を知らないのか。

 いくら汚れていても、気を利かせて自ら掃除する気は毛頭ない。何故なら、早朝のレイプ事件が多いのだ。ゴミ掃除していたら「ゴミにレイプされた」などと、一体どこで笑えばいいのだ。

 真新しい一冊の週刊誌が捨ててあり、何となく手に取ってしまった。見出しには大きく『惑星国家樹立 百周年』と書かれている。

 そう。この地球と呼ばれてる惑星は、一つの国家により、運営されている。

 その昔、地球上には沢山の国が存在し、独立していたそうだ。いや、今でも独立しているような気がするのだが……学校の授業では社会や歴史に大して触れてない。私自身も興味がないのだが。

 ここは「日本」と呼ばれていた。ああ、今でも多くの住人が「日本」と呼んでいるし、私も、そう呼んでいる。だが、週刊誌には「アジア極東地区」と書かれている。世界的にはこちらの方が正しい呼称なのだろうが……ああ、このような週刊誌に用はない。彼女が目にしたら機嫌を損ねてしまう。彼女は下らない雑誌が大嫌いなのだ。

 いつぞや、彼女は「世界を正しく知る術がない」とぼやいていた。そこで私が「別に、知らなくてもいいんじゃないの?」と言うと、彼女は頬を膨らませ、物凄く不機嫌になってしまった。

 確かに、私の無知は度しがたいかも知れない。反省はしているが、正直どうすればいいのか分からない。小難しいことは、全て彼女に任せてしまおう。私の悪い癖かも知れないが、とにかく難しいことは彼女へ。

 それでも、生きている。いいか悪いかは、さておき。

 私にとって大事なことは、彼女をどうやって「守る」か。ただ、それだけだ。彼女が健在であれば、他には何も必要ない。

 駅前で街宣活動している政治家がいる。二言目には「独立しよう」と、延々繰り返している。

 大体、迂闊に「独立」を声高に唱えよう物なら、中央政府から睨まれてしまうのではないか。ただ、あの政治家は彼女に言わせると「偽物」らしい。いわゆる「撒き餌」だとか……よく分からないのだが。とにかく、気にしていても仕方ない。

 そう言えば、以前に彼女が「悪辣な牧場主に家畜が襲いかかる夢を見た」と言っていた。私は「羊が人を襲うのかしら」と言った。すると彼女は「羊にも武装する権利がある」と返してきた。

 彼女は言った。

「それらは全てあなたが教えてくれた」と。

 彼女は、言った。

 これからも、あなたが教えてくれる、と。

(続く)

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『オリジナル小説下書き:リビルダーズ1『目覚めた家畜から』:第一話』へのコメント

  1. 名前:kak 投稿日:2015/10/20(火) 21:07:43 ID:298207410 返信

    なかなかドラマチックな出だしですね。
    これからの展開が気になりますね。
    部屋を借りた女が男に同棲を持ちかけるというあまり見ない展開か。

    ただ最初の部屋を借りる場面では「私」は女性。

    後半の「私」は男性。

    この語り手の「私」の違いが気になります。
    ふつうは主人公の語りては一人がいいのでは?

    視点が移動するとわかりにくくなりませんか?

    余計なことを言いました。

    次回を楽しみにしています。

    • 名前:紅@KOH 投稿日:2015/10/20(火) 22:48:34 ID:298207410 返信

      いらっしゃいませ。いや、私は素人なんですよ。
      実は妙な「悪癖」が抜けなく、難儀してます。ただ、物凄くいいヒントを貰えました。ありがとう御座います。

      この話の主人公、実は通して「女性」なんですよ。いや、でも、物凄くいいヒントを貰えた。本当にありがたいです!

      ( ̄▽ ̄)ゞ☆